【弁護士解説】動物病院の広告規制について

リスティング広告や、SNS広告で、クリニックの宣伝を行おうと考えている動物病院の方も多いのではないでしょうか。

もっとも、動物病院の広告に関しては、法的規制がかかることがあります。

そこで、動物病院の広告規制に関して、以下順を追って解説致します。

目次

広告とは

そもそも広告というためには、

(1)誘引性(飼育者等を誘引する意図があること)

(2)特定性(獣医師の氏名又は動物病院の名称が特定可能であること)

(3)認知性(一般人が認知できる状態にあること)

の全ての要件を満たさなければなりません。

そのため、例えばインターネット上の動物病院のホームページは、閲覧者が自ら検索等して訪れるものである以上、(1)の要件を満たさないことになります。

もっとも、リスティング広告については、実質的に(1)の要件を満たすものとして広告に該当することになります。

広告禁止事項

獣医療に関する広告規制に関しては、獣医療法(以下「法」といいます。)の第17条に以下のとおり規定されています。

第十七条 何人も、獣医師(獣医師以外の往診診療者等を含む。第二号を除き、以下この条において同じ。)又は診療施設の業務に関しては、次に掲げる事項を除き、その技能、療法又は経歴に関する事項を広告してはならない。

一 獣医師又は診療施設の専門科名

二 獣医師の学位又は称号

2 前項の規定にかかわらず、獣医師又は診療施設の業務に関する技能、療法又は経歴に関する事項のうち、広告しても差し支えないものとして農林水産省令で定めるものは、広告することができる。この場合において、農林水産省令で定めるところにより、その広告の方法その他の事項について必要な制限をすることができる。

上記のとおり、法第17条第1項において、

(ⅰ)専門科名

(ⅱ)獣医医師の学位又は称号

を除き、その技能、療法、又は経歴に関する事項を広告してはならない旨規定されています。

また上記規定の反対解釈から、動物病院に併設してペットサロンがある等の技能、療法、又は経歴に関する事項以外に関しては基本的に広告可能であるとされています。

例外的広告可能事項

上記のとおり、原則として、

(ⅰ)専門科名

(ⅱ)獣医医師の学位又は称号

を除き、その技能、療法、又は経歴に関する事項を広告してはいけません。

もっとも法第17条第2項において規定されているとおり、省令で定める場合には一定の広告が可能となります。

かかる省令として、獣医療法施行規則(以下「規則」といいます。)第24条第1項が定められており、以下のとおり広告可能事項が列挙されています。

第二十四条 法第十七条第二項前段の農林水産省令で定める事項は、次のとおりとする。

一 獣医師法(昭和二十四年法律第百八十六号)第六条の獣医師名簿への登録年月日をもって同法第三条の規定による免許を受けていること及び第一条第一項第四号の開設の年月日をもって診療施設を開設していること。

二 医薬品医療機器等法第二条第四項に規定する医療機器を所有していること。

三 家畜改良増殖法(昭和二十五年法律第二百九号)第三条の三第二項第四号に規定する家畜体内受精卵の採取を行うこと。

四 犬又は猫の生殖を不能にする手術を行うこと。

五 狂犬病その他の動物の疾病の予防注射を行うこと。

六 医薬品であって、動物のために使用されることが目的とされているものによる犬糸状虫症の予防措置を行うこと。

七 飼育動物の健康診断を行うこと。

八 家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)第五十三条第三項に規定する家畜防疫員であること。

九 家畜伝染病予防法第二条の三第四項に規定する家畜の伝染性疾病の発生の予防のための自主的措置を実施することを目的として設立された一般社団法人又は一般財団法人から当該措置に係る診療を行うことにつき委託を受けていること。

十 獣医療に関する技術の向上及び獣医事に関する学術研究に寄与することを目的として設立された一般社団法人又は一般財団法人の会員であること。

十一 獣医師法第十六条の二第一項に規定する農林水産大臣の指定する診療施設であること。

十二 農業保険法(昭和二十二年法律第百八十五号)第十一条第一項に規定する組合等(以下「組合等」という。)若しくは同条第二項に規定する都道府県連合会から同法第百二十八条第一項(同法第百七十二条において準用する場合を含む。)の施設として診療を行うことにつき委託を受けていること又は同法第十条第一項に規定する組合員等の委託を受けて共済金の支払を受けることができる旨の契約を組合等と締結していること。

主に、

  • 獣医師の免許を受けていること等
  • 医療機器を所有していること
  • 避妊去勢手術を行っていること
  • ワクチン接種を行っていること
  • フィラリアの予防薬を提供していること

等は広告可能事項とされています。

例外的広告可能事項の制限

上記のとおり、規則により例外的に広告が可能とされていますが、かかる広告も無制限に認められるという訳ではなく、一定の制限を受けることが施行規則第24条2項に定められています。

第二十四条

2 法第十七条第二項後段の農林水産省令で定める制限は、次のとおりとする。

一 前項第二号及び第四号から第七号までに掲げる事項を広告する場合にあっては、提供される獣医療の内容が他の獣医師又は診療施設と比較して優良である旨を広告してはならないこと。

二 前項第二号及び第四号から第七号までに掲げる事項を広告する場合にあっては、提供される獣医療の内容に関して誇大な広告を行ってはならないこと。

三 前項第四号から第七号までに掲げる事項を広告する場合にあっては、提供される獣医療に要する費用を併記してはならないこと。

かかる規定により、

(ⅰ)比較広告

(ⅱ)誇大広告

(ⅲ)費用の広告

が禁止されることになります。

(ⅰ)比較広告

比較広告、すなわち他院と比較して優良である旨の広告は禁止されています。

具体例:他の動物病院より安全に避妊去勢手術を行えます。

(ⅱ)誇大広告

誇大広告、すなわち著しく事実に相違する、又は必ずしも虚偽とはいえないが、事実を不当に誇張して表現する広告は禁止されています。

具体例:効果の高いフィラリア薬を使用しています。

→何が根拠で効果が高いといえるのか不明で誇大広告に該当します。

(ⅲ)費用の広告

具体例:低価格で健康診断が受けられます。

まとめ

以上のとおり、動物病院が広告可能な範囲は、一定のものに限定されており、かつその表記にも様々な制限があります。

また動物病院の広告に関しては、獣医療法のみならず、景品表示法、薬機法等による規制がかかる可能性があります。

終わりに

広告を掲載する際には、弁護士によるリーガルチェックをおすすめしております。

ネクスパート法律事務所ではこのような広告法務について専門チームで対応させていただいています。

また、日頃分からないことがあれば、チャットワーク等で相談いただき、弁護士からすぐに返答させていただくサービスも提供しております。

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弁護士 尾又比呂人 (第一東京弁護士会所属)

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