ペットの手術に関する同意書について

獣医師をしておりますが、手術を行う際に医療事故が起きてしまった場合に備えて、「手術により生じた損害に関しては何らの責任も負わない」との内容の同意書を作成し、飼い主さんにご署名いただくことは可能でしょうか?

責任を一切負わないという内容の契約書に関しては、無効と考えられます。

以下の順に、詳しく説明します。

  •  手術を行う際の獣医師の法的責任
  •  手術同意書における免責条項の有効性
  •  手術同意書の必要性
  •  まとめ
目次

ペットの手術を行う際の獣医師の法的責任

一般的に、獣医師と飼い主間で締結されるペットの手術に関する契約は、手術が必要となった原因を取り除くという結果を保証するものではなく、あくまで手術を行うという事実行為の委託を受けるに過ぎないため、民法上の準委任契約に該当するものと考えられます(民法656条)。

この場合、獣医師としては、飼い主に対し、獣医師として通常要求される程度の注意義務を払う必要があります(善管注意義務)。

善管注意義務を履行したといえるか否かは、当該治療が、診療当時の平均的な獣医学の水準に照らして適切であったかという基準に基づき判断されます。

また、獣医師は、治療行為を行うに当たり、飼い主に対し、治療方法や他の代替手段が考えられるような場合には、適切にその説明を行っていたかどうかという義務(以下「説明義務」)をも負うこととなります。

以上の善管注意義務や説明義務を履行していない場合には、獣医師は債務不履行責任や不法行為責任を負うこととなり、飼い主から損害賠償請求を受ける危険があります。

ペットの手術同意書における免責条項の有効性

では、そもそも手術同意書に、「手術に伴い生じた損害に関して、当院は一切の責任を負いません。」との免責条項を設けることで、手術に伴い生じる損害を一切負わないこととすることは無効とされる可能性が高いです(最判昭43年7月16日判例時報527号51頁参照)。

ペットの手術同意書の必要性

免責条項を記載できないとすれば、同意書を作成する意味があるのかと疑問が生じるかもしれませんが、同意書を作成することで上記説明義務違反に関するクレームを防ぐことができます。

というのも、同意書には、上記の説明義務を果たしていたか等の客観的資料となりますので、非常に重要な役割があります。

そして、同意書に記載すべき事項、すなわち説明義務を果たしていたというためには、基本的には、①病状②手術内容、③手術に伴い生じるリスク、④他にどのような治療方法があるか等について記載する必要があります。

同意書の例としては以下のとおりです。

まとめ

以上のとおり、手術を行う際には、しっかりと説明義務を果たした上で同意書を作成する必要があります。

もっとも、手術が最先端なものに基づく場合には、同意書の内容もそれに伴い変える必要もあります。

ネクスパート法律事務所では、そのようなペット法務に関して、専門チームで対応させていただいております。

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弁護士 尾又比呂人 (第一東京弁護士会所属)

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