ペット用品に欠陥があった場合の事業者の責任について

ペット用品を製造・販売する事業者です。自社で製造・販売した商品に欠陥があった場合、法律上、購入者に対してどのような責任を負うのでしょうか?

製造・販売したペット用品に欠陥があった場合、製造業者には、民法上の責任の他、製造物責任が生じるおそれがあります。

以下の順に、詳しく説明します。

  •  民法上の責任について
  •  製造物責任(PL責任)
  •  まとめ
目次

ペット用品に欠陥があった場合の民法上の責任について

第五百六十二条

1 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

民法第562条| e-Gov法令検索

商品の売買契約は、通常何らの欠陥のない商品を渡すという内容になっているため、何らかの欠陥がある場合には、民法562条1項における、「引き渡された目的物が…契約の内容に適合しないものである」として、商品の修補、代替物の引渡し等を請求することが可能です。

第五百六十三条 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

一 履行の追完が不能であるとき。

二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

3 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

民法第563条 | e-Gov法令検索

また、購入者から相当期間を定めて、上記代替物の引き渡しの請求等がされた場合においても、事業者がこれに対応しない場合には、売買代金の減額を請求されるほか、売買契約自体を解除され、売買代金の全額を返還しなければならなくなる危険もあります。

加えて、商品の欠陥につき、事業者に過失が認められる場合には、事業者は、商品の欠陥に伴い生じたペットの怪我についての責任も負うこととなり、治療費等を支払う責任が生じます。

ペット用品に欠陥があった場合の製造物責任について

上記のとおり、民法上の損害賠償責任については、事業者側に商品の欠陥作出につき過失がなければ、これは認められません。

もっとも、商品の欠陥が事業者の過失に基づかないものといえる場合にも、製造物責任法(以下「PL法」といいます。)上の一定の要件を満たした場合には、ペットの治療費等の責任も負う必要があります。

第二条 この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。

2 この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。

3 この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。

一 当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)

二 自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者

三 前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者

製造物責任法第2条| e-Gov法令検索

第三条 製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。

製造物責任法第3条 | e-Gov法令検索

PL法は、上記のとおり、①製造物に欠陥があったこと、②他人の財産を侵害したこと、③損害が製造物の欠陥により生じたことの3点が認められた場合、欠陥作出につき製造者に過失がなくとも、損害賠償責任が生じる旨規定しております。

製造物とは、「製造又は加工された動産」をいうため(PL法第2条1項)、ペット用のおもちゃは製造物に当たります。

次に、「欠陥」とは、製造物の特徴や、その使用方法、当該製造物を引き渡した時期等の事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、ペット用のおもちゃがそのような事情を考慮して、通常有すべき安全性を欠いていると認められる場合には、「欠陥」があるものといえます。

そして、当該製造物の欠陥により、ペットという財産に損害が生じた場合には、上記①~③の要件が満たされる以上、製造業者には、損害賠償責任が生じることとなります。

このようにして、製造物責任が認められた場合、事業者に多額の損害賠償責任が生じる可能性が出てきます。

まとめ

以上のとおり、ペット用品に欠陥がある場合には、製造業者には、民法上の責任の他、製造物責任が生じるおそれがあります。

このうち民法上の責任については、契約書や利用約款等で、その責任を一部免責することが可能な場合があります。

かかる契約書の作成等においては、消費者契約法等の諸規制がかかるため、リーガルチェックをおすすめしております。

ネクスパート法律事務所ではこのようなペット事業者向けの法務について専門チームで対応させていただいています。

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弁護士 尾又比呂人 (第一東京弁護士会所属)

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