ペットフードの無添加表記について

ペットフードを販売する事業者です。ペットフードの表記において、着色料・香料・保存料の添加物不使用と記載することは可能でしょうか?

一定の条件を満たす場合は、無添加表記をすることが可能です。

以下の順に、詳しく説明します。

  • 添加物表記に関する法規制
  • 添加物表記に関する他の規制について
  • まとめ
目次

ペットフードの添加物表記に関する法規制

そもそも、ペットフード安全法で添加物とは、ペットフードの製造の過程において又はペットフードの加工若しくは保存の目的で、添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいいます(農林水産省「ペットフード安全法 製造に関するQ&A」参照)。

そして、ペットフード安全法第5条に基づき定められた、愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令において、次のように定められております。

愛玩動物用飼料(ペットフード)の製造・販売にかかる基準・規格

販売用ペットフードには、次に掲げる事項を表示しなければならない。

(2)原材料名(原則的に添加物を含む全ての原材料を表示)

愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令 – 独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)

かかる基準に基づき、ペットフードの製造において、添加物を使用した場合には、当該ペットフードのパッケージ等に、使用した添加物を記載する必要があります。

もっとも、原材料に含まれる添加物の表示までは義務付けられておりません。

そこで、例えば「かにかま」や「チーズ」などの食品をペットフードに配合する場合、「かにかま」、「チーズ」を原材料名として表示します。

「かにかま」に赤い色素が使用されている場合、色素を原材料として表示することまでは義務付けられておりません。

また、いわゆる加工助剤については、表示を省略することができます。

ペットフードの添加物表記に関する他の規制について

景表法第12条によりに定められ、各事業者団体が不当な顧客の誘引を防止し、公正な競争を確保する為に設定された自主基準である「ペットフードの表示に関する公正競争規約」(以下「公正競争規約」といいます。)という規約があります。

公正競争規約は、景表法上の優良誤認・有利誤認表示のガイドライン的な意味合いをも有しており、これに適合するような表示をすることが望ましいものと考えられます。

そして、無添加表記については、公正競争規約上以下のとおり定められています。

ペットフード施行規則7条4号

(1)添加物以外の原材料に係る表示については、ペットフードの全ての製造工程において当該原材料が使用されていないことが確認できる場合

(2)添加物に係る表示については、当該添加物につき、ペットフードの表示のための添加物便覧に記載された添加物(加工助剤、キャリーオーバー及び栄養強化目的で使用されるものを含む。)を一切使用していないことが確認できる場合

ペットフードの表示に関する公正競争規約施行規則第7条4項

かかる条項からすれば、例えば着色料無添加を表記する場合、当該商品に含まれる原材料やその生成に当たり一切の着色料が使用されていない場合には、着色料無添加を表示できることになります。

その他にも、添加物を一切示さずに単に無添加と表記する場合や、〇〇無添加と表示したが、〇〇と同一・同種の効果を有する他の添加物を使用している場合等には、景品表示法上の優良誤認表示に該当する可能性があります。

まとめ

以上のとおり、ペットフードには、人の食品とは異なる諸規制がある他、表示の仕方次第では、違法となる可能性もあります。

ネクスパート法律事務所ではペットフードの表記や広告等のリーガルチェックに関して、ペット事業者向けの専門チームで対応させていただいております。

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弁護士 尾又比呂人 (第一東京弁護士会所属)

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