ペットフードにおけるプロピレングリコールの使用について

現在キャットフードの製造開発を行っているのですが、その原材料の製造過程においてプロピレングリコールが使用されています。原材料としてプロピレングリコールを使用してはならないことは知っているのですが、原材料の製造過程にそれが使用されている場合でもNGでしょうか?

猫の健康被害が及ばない量のプロピレングリコールが使用されている場合は、問題ないです。

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愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律

海外でペットフードによるペットの健康被害報告が相次ぎ、日本にも問題となった有害物質が含まれたペットフードが海外から輸入されていた問題、その他ペットの飼育数が増加している状況からして、ペットフードに関する安全性確保が急務となったことから、愛がん動物の健康を保護し、動物の愛護に寄与することを目的とし、平成20年に愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(以下「ペットフード安全法」といいます。)が制定されました。

ペットフード安全法は、犬と猫の飼料に関する基準や規格等を定める法律で(ペットフード安全法施行令1条1項)、具体的には、

「農林水産大臣及び環境大臣は、愛がん動物用飼料の使用が原因となって、愛がん動物の健康が害されることを防止する見地から、農林水産省令・環境省令で、愛がん動物用飼料の製造の方法若しくは表示につき基準を定め、又は愛がん動物用飼料の成分につき規格を定めることができる。」

ペットフード安全法5条1項

と定めています。

プロピレングリコールに関する規制

ペットフード安全法5条1項に基づき定められた愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令別表2(3)において、

猫を対象とする販売用愛玩動物用飼料にはプロピレングリコールを用いてはならない旨定められています。

プロピレングリコールは、人体にはほとんど無害で、人用の香料に用いられることが多いため、キャットフードを製造する際に、これにプロピレングリコールが含まれている原材料が混入する可能性があります。

では、原材料の中に猫に害を及ぼさない範囲でプロピレングリコールが使用されている場合であっても、一切これが使用できないのでしょうか?

この点、平成21年厚労省発出の通知「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律の施行について」の第3の3③において、以下のとおり定められております。

「プロピレングリコールは、猫を対象とする販売用愛玩動物用飼料に用いてはならないこと。なお、販売用愛玩動物用飼料の原材料に由来するプロピレングリコールであって、その含有量が猫への健康影響が想定されない量である場合まで規制対象とするものではない。」

愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律の施行について

以上からすると、

原材料においてプロピレングリコールを使用することは、健康被害が及ばない範囲であってもNGですが、

原材料の製造過程においてプロピレングリコールが使用されている場合でかつそれが健康被害が及ばない範囲であれば、ペットフード安全法の規制の対象外となります。

まとめ

ペットフードに関する法的規制に関しては、非常に専門性が高く、しっかりとしたリーガルチェックが必要です。

ネクスパート法律事務所では、ペット法務の専門チームがあり、これらのお悩みに対応することが可能です。

ペットフードの法的規制に関して、一度不安がある事業者は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。

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弁護士 尾又比呂人 (第一東京弁護士会所属)

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