【弁護士解説】ペットの譲渡・販売に関する広告について

ペットの譲渡・販売に関する広告について、何らかの法的規制がかからないのかご心配されるペットショップやブリーダーの方も多いのではないでしょうか。

そこで、ペット譲渡に関する広告規制に関して、順を追って解説致します。

目次

動物譲渡等の広告に関する法律

動物譲渡等に関する広告を規制する法律については、基本的に動物愛護及び管理に関する法律(以下「動愛法」といいます。)があります。

そして、動愛法21条1項は、「第一種動物取扱業者は、動物の健康及び安全を保持するとともに、生活環境の保全上の支障が生ずることを防止するため、その取り扱う動物の管理の方法等に関し環境省令で定める基準を遵守しなければならない。」ものと定めています。

そして、動愛法21条1項で定める環境省令として、「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」(以下「同省令」といいます。)が令和元年6月19日に公布され、令和3年6月1日に施行されました。

同省令2条7号ケにおいて、第一種動物取扱業者が、その取扱業の実施に係る広告を出す際には、

(1) 氏名又は名称、事業所の名称及び所在地、第一種動物取扱業の種別、登録番号並びに登録年月日及び登録の有効期間の末日並びに動物取扱責任者の氏名の掲載

をし、かつ

(2) 安易な飼養又は保管の助長を防止するため、事実に反した飼養又は保管の容易さ、幼齢時の愛らしさ、生態及び習性に反した行動等を過度に強調すること等により、顧客等に動物に関して誤った理解を与えることのない内容とする

必要がある旨定められております。

特に(2)については、非常に判断が難しいところなので、弁護士によるリーガルチェックをした方がよいかと思います。

広告規制の対象者

上記のとおり、同省令の広告規制対象者は、第一種動物取扱業者となっております。

第一種動物取扱業者とは、「動物(哺乳類、鳥類又は爬は虫類に属するものに限り、畜産農業に係るもの及び試験研究用又は生物学的製剤の製造の用その他政令で定める用途に供するために飼養し、又は保管しているものを除く。以下この節から第四節までにおいて同じ。)の取扱業(動物の販売(その取次ぎ又は代理を含む。次項及び第二十一条の四において同じ。)、保管、貸出し、訓練、展示(動物との触れ合いの機会の提供を含む。第二十二条の五を除き、以下同じ。)その他政令で定める取扱いを業として行うことをいう。)」ものとされています(動愛法10条1項)。

以上からすると、

  • 哺乳類、鳥類、爬虫類以外の動物の販売等(魚類、両生類等)に関しては、動愛法上の広告規制はかかりません。
  • 動物の販売、保管、貸出、訓練、展示、その他政令で定めるもの以外の業種であれば(無償の里親募集の場合等)、動愛法上の広告規制はかかりません。

規制対象の広告

上記のとおり、取扱業の実施に係る広告を出す際、すなわち動物の販売、保管、貸出、訓練、展示、その他政令で定めるものの実施に関する広告を出す際には、動愛法上の広告規制がかかることとなります。

違反した場合の措置

動愛法上の広告規制に違反した場合は、以下の2つのステップを経て罰則等を受ける可能性があります。

(1)都道府県知事より、原則として3ヵ月以内の期限が定められた改善命令が勧告されます(動愛法23条1項、5項)。

(2)(1)を受けても正当な理由なく勧告に係る措置をとらなかった時、都道府県知事より、原則として3ヵ月以内の期限が定められた勧告に係る措置命令が出されます(動愛法 23条2項、 5 項)。

そして、(2)の勧告措置命令を受けてもなお措置命令に係る措置を取らなかった場合、

(ⅰ)第一種動物取扱業の登録の取消し、6ヶ月以内の業務の全部停止若しくは一部停止(動愛法19条1項6号)

(ⅱ)100万円以下の罰金(動愛法46条4号、48条2号)

が科される危険があります。

また、(1)の改善命令や、(2)の勧告措置命令に従わなかつたときは、都道府県知事より、その旨を公表される可能性があり(動愛法23条3項)、企業価値が下落する危険もあります。

終わりに

動物の譲渡等に関する広告については、主に動愛法上の規制がかかってきますが、その他にも景表法等のリーガルチェックが必要な場合もございます。

ネクスパート法律事務所ではこのような広告法務について専門チームで対応させていただいています。

日頃分からないことがあれば、チャットワーク等で相談いただき、弁護士からすぐに返答させていただくサービスも提供しております。

また、LPや掲載面を丸ごとチェックすることも可能です。

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弁護士 尾又比呂人 (第一東京弁護士会所属)

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